避難か地元再興か

アパート建設を勧誘する営業が最近、わたしに近所をまわっています。アパートを新築して避難民に提供するならば、政府が一定期間借り上げるというものです。先週末から建設会社の営業が歩き回っています。すでに建てられている公営住宅を避難先に当てるとか、すでにあるマンション・アパートの空き部屋を借り上げるというのなら、仮設住宅ができるまでのあいだ利用してもらうことはできるでしょう。避難住宅はすぐにほしいのです。それを、これから新築アパートを建てて、それを政府に借り上げてもらうというのでは、遅いのではないでしょうか。便乗商法と思えてしまいます。
これまでも、阪神淡路大震災や三宅島噴火などで避難民の受け入れがありました。阪神淡路大震災のときは、立川基地跡の空き地に仮設住宅が建てられえたものの、入居者がいたようには見えませんでした。また三宅島避難民は近所の都営住宅の空き部屋に受け入れました。
避難民の気持ちとしては、故郷を離れたくないという気持ちと、早く暖かい部屋と食事がほしいという気持ちの両方でしょう。だから地元に仮設住宅を作るのがもっともいいでしょう。自治体の連帯も維持できます。しかし、仮設住宅の建設までにはまだまだ時間がかかります。そのため避難を希望する場合には、一日も早く受け入れる必要があるでしょう。この場合は緊急なのだから、すでにある公営住宅を空き部屋を提供し、それでも足りなければ民間のアパート・マンションの空き部屋を利用することなどが考えられます。
ただし避難先では買い物する場所さえ分からないのですから、多くの不安を抱えることになります。受け入れる側は場所を提供して終りではなく、提供後も積極的に援助しなくてはいけません。そのため、もっともいいのは集団での避難です。自治体の連携で、互いに助け合うことことができるからです。バラバラで避難した場合、避難生活が長くなると自治体の連帯を維持することが難しくなり、やがて連絡も取れなくなります。さらに避難先でそれぞれの生活が営まれるので、地元復興に対する温度差が生まれて共同主観の形成も難しくなり、地元復興で一致団結できなることも考えられます。復興はあくまで自分たちでおこなうことで、第三者がしてくれるわけはないからです。第三者ができることは積極的な援助だけです。復興には地元の人たちの団結が必要なのです。これはすでに三宅島避難民が経験したことです。そのため、やはり避難先を提供して満足するのではなく、同時に仮設住宅の建設を急ぐ必要があるでしょう。それが東北地方の復興にもなります。

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